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●レスリー・チャン映画 知られざる52の秘密 内幕篇 その24、 脱いだのに無駄になる-若い頃、ヌード・シーンがカットされる *《烈火青春(嵐の青春)》でのレスリーとイップ・トンのベッド・シーンは、胸が見えているなどの理由でカットされ、一部のDVDに付録として収録されているのみである。 《紅樓春上春(君に逢いたくて)》のラブ・シーンのトラウマがあるにしても、レスリーは脱ぐ事を拒否はしなかった。ストーリー上で必要があり、それをわざと売り物にするのでなければ、ヌードでの演技も受けた。当時あるインタビューで「僕は意味なくヌードを見せない。露出狂じゃない」と答えている。 1981年《失業生》で霍耀良監督はダニー・チャンのヌード・シーンを計画していたが、ダニーは、中国人がそんなシーンを撮っても美しくないと断った。結局そのシーンはレスリーが一人でシャワーを浴びる場面に変わった。(削除されているバージョンもある) 1982年の《烈火青春》ではオール・ヌードになっている。ストーリー上必要なら、厭わないのだ。「どうして映画検閲部門が僕のオール・ヌード・シーンをカットするのか分からない。僕の体がそれほどきれいでないとしても、ストーリーに必要なら、僕は脱ぐよ」 しかし、イップ・トンとのベット・シーンを全て削除する事が、映画公開の条件となった。 また同年の蔡継光監督の《檸檬可楽(レスリー・チャンの青春白書)》では、同様にベット・シーンを撮ったが、この時期彼は突然太っていて、結局は没になった。何度も犠牲を払ってヌード・シーンを撮ったが、結局はあれやこれやの理由でカットされて、3度は無駄に脱いだと言える。 5、《失業生》の2つの結末 この作品には2バーションある事は知られているが、実際に目にした人は少ないだろう。林志榮(レスリー)が罠にかけられ切り殺される結末と、彼が更生して正しい青年に生まれ変わる結末だ。前者の方が様々考えさせる意義があるだろう。 6、《檸檬可楽(レスリー・チャンの青春白書)》では、何故レスリーを主役に起用したか? 《檸檬可楽》は香港青春映画の名作である。そしてレスリーが本当の意味で主役を務めた、初めての映画である。彼が主役になった経緯は、当時のシナリオライター・クリフトン・コウ(高志森)から始まる。クリフトン・コウは《喝采》のライターの一人だ。《喝采》の第一の主役はダニー・チャンだが、クリフトン・コウは演技が一番光っているのはレスリーだと考えていた。そこで《檸檬可楽》で脚本を担当すると、蔡継光にレスリーを主役にするよう、“彼をおいて、他にはいない”と強く推した。 《檸檬可楽》はクリフトン・コウが、若い頃の実体験を元に書いた作品だ。レスリーを主役にする許可をもらってから、高と蔡はRTV(麗的電視)の入り口で何時間も待ち、レスリーにこの作品について説明した。レスリーも気に入って、即座に出演をOKした。 7、レスリーが《胭脂扣(ルージュ)》に出演せざるを得なかった訳 *《ルージュ》の年老いた十二少は代役では?と疑う人もいるが、あれはレスリー自身だ。特殊メイクに時間をかけ、しかもぼろが出ないように照明を暗くしている。 当初《ルージュ》の出演者はアニタ・ムイ、アダム・チェン(鄭少秋)、アンディ・ラウ、チェリー・チェンになっており、監督もスタンリー・クワンではなく、唐基明だった。アダム・チェンの妻のリディア・サム(沈殿霞)の妊娠が分かり、アダム・チェンが突如辞退する事になった。この時“十二少”の役は、劉松仁も考えられていた。 一方、原作者の李碧華は、“如花”はアニタ・ムイ以外ではなく、“十二少”もレスリー以外はありえないと考えており、「もし2人が出演できないのなら、この作品は無かったことにして欲しい」とまで言っていた。しかしレスリーはゴールデン・ハーベスト所属ではなく、合作は非常に困難と思われた。 アニタ・ムイは“如花”の役がとても気に入っていた。ちょうどその時、レスリーの所属会社のシネマ・シティ(新芸城)が、アニタに《英雄本色Ⅲ(男たちの挽歌3夕陽之歌)》 への出演を依頼した。そこでアニタは、レスリーの《ルージュ》出演を許可することを交換条件にした。そしてレスリーに他社の作品への出演願いを出させ、これでライバル会社同士の“人質交換”が成功した。また優れた香港映画も生み出される事になった。 |
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