●レスリー・チャン映画 知られざる52の秘密 八卦篇 その4

10、《胭脂扣(ルージュ)》のアヘンは何で出来ていたか?

チャン・イーモウが《満城尽帯黄金甲(王妃の紋章)》を撮った時、コン・リーが飲んでいる薬湯はコーラだった。張徹のチャンバラ映画で、激しい斬り合いで吹き出した血が辺りを染めるが、その血は砂糖水で出来ており、コンドームに入れてぶら下げ刀で破っていた。血の味も悪くなかったとか。

アヘンは本物を用いる訳にはいかない。そこで《ルージュ》のアヘンは、麦芽糖にチョコレートを混ぜた物だったそうだ。作品ではレスリーとアニタが心中を決意し、アニタはレスリーにアヘンを食べさせる。レスリー曰く「悲惨な演技なのに、“あのアヘンがとっても美味しく” やり難かった」

11、《金枝玉葉(君さえいれば)》のストーリーのモデルは、クラレンス・ホイ(許願)とサンディ・ラム(林憶蓮)?

1987年サンディ・ラムはイメージ担当とダンス教師として、香港の音楽の才英・許願を頼んだ。一度は恋愛も取り沙汰されたが、許願の戦略とプロデュースの下、サンディ・ラムは成熟して知的な、香港のファッショナブルな女性の代表というイメージを確立した。

《金枝玉葉》のストーリーは、正に許願本人が提供したもので、ピーター・チャンとジェームス・ユエン(阮世生)がシナリオにし、劇化した。ストーリーはもちろん、プロデューサーが新人女優を育てるものだ。そして許願自身もアニタ・ユンのトレーナー役で《金枝玉葉》に登場している。また主題歌の《今生今世》も彼の作品で、レスリーが感動的に歌い上げている。

レスリーの親しい人なら誰でも、レスリーがこの役を大変気に入っていたことを知っている。彼が去った時に、遺影に用いたのもこの作品のスチール写真だった。UFOの鐘珍がこの写真を額装して贈ると、レスリーはとても喜んだそうだ。 またピーター・チャンによると、《金枝玉葉》の版権はすでにアメリカのワーナー社のもので、そのためこの写真を遺影にするには、ワーナーの同意を得なければならなかったそうだ。

12、ロザムンド・クワン(關之琳)イメージを考慮して、《流星語(流星)》に出演せず

《流星語》に、ジェイコブ・チャンはまずアニタ・ムイの出演を考えたが、アニタは別の映画に出演中で諦めざるを得なかった。(2年後にチャン監督の夢叶い《慌心假期》を撮影)そこでロザムンド・クワンを考えた。レスリーが自分で電話をかけ、この作品はとても良いもので、一緒に出て欲しいと言った。ロザムンドも“創意聯盟”のコンセプトは聞いていて、すぐに出演を受けた。しかし子どもを捨てる母親の役であると知り、自分のイメージを考えて、またそういった複雑な心の動きが表現できないかもしれないと、結局辞退した。

最後にレスリーがサイモン・ヤム(任達華)の妻の琦琦を推した。映画出演経験のない彼女は夫の励ましの下、出演を受けた。

13、《大英雄(東成西就)》で、レオン・カーファイ(梁家輝)に代わって歌っているのは誰か?

《大英雄》は香港映画コメディの大傑作であり、中でもレスリーとレオン・カーファイが歌って踊るシーンは、アクセス数の最も 多い映像の一つだ。

もし広東語版を見たのなら、良く聞けば、レオン・カーファイの声は本人ではないと分かるだろう。しかし聞いた事のある声で、誰だろうか?

これは香港の鬼才ジェームズ・ウォン(黄霑)なのだ。彼の“笑歌”は超一流だ。《大英雄》の挿入歌の一部は彼の作詞で、本人が歌うのも理に適っている。あの《做対相思燕》はレスリーが替え歌を書いたもので、何とも可笑しい。

ジェームズ・ウォンが歌うのは初めてではない。87年のツイ・ハークの《チャイニーズ・ゴースト・ストーリー(倩女幽魂)》でウー・マー(午馬)が剣を持って舞いながら主題歌《道》を高らかに歌うが、これもウォンだ。この歌はウォンとツイ・ハークが飛行機の中で書いた物で、元々はジョージ・ラム(林子祥)に依頼する予定が、ジョージ・ラムはアメリカにいた。また樊少皇の父親・樊梅生に依頼すると、彼は北京におり、結局自分で歌うしかなかった。しかし天を衝く豪気さが表れている。

レスリーの作品では、《花田喜事(恋はマジック)》でテレサ・モウ(毛瞬筠)がロザムンド・クワンに代って歌ったくらいしか思い出さない。そしてこれは、レスリーが歌壇を引退して初めてレコーディングをした時だった。

― 八卦篇 完 ―

 
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