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哥哥 昨年11月4日にパブティスト大学で行われた"追星歳月‐超時空偶像 vs 跨世代Fans"(時代を超えたアイドルと世代を超えたファン) でのメッセージを、あなたに敬意を表し送ります。 ![]() あの事件の一年ほど前、張國榮氏は私が勤務する飛行機でオーストラリアのシドニーから香港に戻られました。その日はファーストクラス に乗られ、私はファーストクラス担当乗務員の1人でした。私は後になって彼のファンになったので、その日機内でお会いしても、 他の芸能人に会った時と同じ様に平静でした。何も違いはなかったし、特別興奮もしませんでした。しかし彼が他の芸能人と大きく違うと いうのは、すぐに分かりました。まず機内に乗り込むとすぐ人の注意を引き、崇めてもらいたいという方ではありませんでした。また帽子 やサングラスで見つからないようにして、騒がれたくないというのでもありませんでした。鷹揚にスマートに自分の席に着かれました。 (飛行機に乗り慣れ、座席の番号もよくご存知のようでした)私が飲み物や読み物はいかがですかと伺った時も、非常に礼儀正しく 一つ一つ答えてくださいました。報道されているように威張った様子や、答えたり答えなかったりということはありませんでした。 また答えるとき、必ず私の目をしっかりみてくださいました。これをしてくださる芸能人の方はなかなかいらっしゃいません。相手への 尊重が感じられ、礼儀正しく、メディアが言うような傲慢でお高くとまった様子は全くありませんでした。 ![]() そのとき張國榮氏が仰いました。「ああ、今日この飛行機は満席だね。大変でしょう?」彼の言い方はフレンドリーで、兄が妹を気遣うよう でした「今日は大変じゃない?」と。 あの日機上で、新聞記者もパパラッチもいない場面で、彼はわざと紳士的に振舞ったのではなく、 本当に気遣って下さっていたと思います。その優しいことばに私も気持がほぐれ、おしゃべりを始められました。 私が会社がコスト削減のために人を減らし、仕事の負担が重くなっていて大変だと申しますと、「それは避けられないね。いま大企業の ほとんどがコスト削減をしているからね。でもそれは乗客も分かっているよ。経済が上向きになった時には、会社のやり方 も変ればいいね。」そしてさらに「毎回の仕事を新たな挑戦と考えたらいいよ!そうすれば、そんなに辛くなくなるから!」と励まして 下さいました。この楽観的で前向きな姿勢に、私は動かされました。そしてこの一言を聞いてから、自分の仕事への取り組み方も 変ったと思います。 そのあと、私の名札に"国語(普通語)"と書いてあるのを見て、「あれ?Angelどうして国語の名札をつけているの?」と聞かれました。 (私たちは広東語で話していましたから)私は「私は台湾出身です、だから名札には母語である国語と書いてあるのです。」と答えました。 多くの方が、こういう状況では異口同音に「ああ、それで広東語に少しなまりがあるんだね」と仰います。しかし彼は違いました。彼は私に 合わせて、その後普通語を話されたのです。これには非常に感動しました。そんな事しなくてもいいのです。私は初対面のスチュワーデスで あり、合わせてくださる必要はありません。反対に彼は私のお客様で、私こそ尊重し、合わせ、彼の母語でお話するべきでしょう? 短い時間でしたが、張國榮氏の所作、その細心さ、心遣い、明るく積極的であり、他人を尊重して思いやることなどが、深く印象に残りました。 ![]() 彼の仕事に対する考えというのは、私に仰ったことで、毎回が挑戦であり、新たなものを創造し続けたと思います。今、この彼のことばが、 私の姿勢も変えました。 搭乗して厄介なお客様ややり難い同僚(毎回担当路線や、同僚も違いますので)に出会う度、私はこれは挑戦だと思うようになりました。 そして仕事が終わったり、問題を解決したりすると、満足感が得られます。私は愚痴を言う事も減り、楽しく仕事に向えるようになって きました。 また張國榮氏は周りの全ての人に、細やかに気を配っていました。あれだけ忙しいのに、やっていたのです。では私はどうでしょう? 私は自分にもできると信じています。今は私を必要とする人がいれば、出来るだけの事はするようになりました。家族に対しても、あまり家 におらず、一緒にいられる時間は数えるほどです。ですから、出来るだけ時間を作って、台湾に帰るようになりました。今年の休みも友達 と旅行したり、ショッピングに行ったりせず、父と西安旅行をしました。兵馬俑をみるのが、父の長年来の夢だったからです。 将来一緒に行く機会がなくなって、後悔をしたくなかったので、決めました。5日間の西安の旅は本当に楽しいものでした。それはこれが、 すべきことだったからでしょう。 哥哥、あなたの励ましに感謝します。天国で永遠にお幸せに! by Angel ![]() |