●レスリー・チャン映画 知られざる52の秘密 暴露編 その3

7、《大三元(恋する天使)》のレスリーのエルビス・プレスリーの扮装は、何故非常に
  短いのか?

レスリーはこの作品で、エルビス・プレスリーに扮するが、彼は「年寄りが若作りして」と言われないか気にしていたという。しかしこの扮装はなんと言おうか、余り長くもない。結局のところはやはり、ツイ・ハークの計画不足だろう。ツイ・ハークはエルビス・プレスリーの変装で歌うシーンを考えていた。しかし歌も音楽も出来ておらず、ただ衣装だけが出来、また映画の完成も急いでいた。そこでレスリーがエルビス・プレスリーに変装すればきっと面白いだろうと思ってやらせてみた。しかし残念ながら浅く終ってしまった感がある。もちろん、《狗咬狗骨》の脇役よりは長く、レスリーの数少ない変装の一つである。

レスリーの変装といえば、この他には《金枝玉葉2(ボクらはみんな恋してる!)》でハリウッド、インディペンデント系映画の監督のウッディ・アレンのマスクをかぶっているくらいしか思いつかない。何故ウッディ・アレンかというと、これは多分単純だろう。監督のピーター・チャン(陳可辛)が「ウッディ・アレンは私の映画の父だ。私の全て、人生観さえも彼の影響を受けている」と語っている。

8、《金玉満堂(金玉満堂 決戦!炎の料理人)》はいかに誕生したか?

ツイ・ハークは元々その年のお正月映画には、香港色溢れるミュージカル風映画を撮影予定だった。(10年後ピーター・チャンが正月映画に《如果・愛(ウィンター・ソング)》を製作)主役は早々とレスリーに決まり、タイトルは《龍翔鳳舞》の予定。しかしすでに10月に入っており、時間的にとても間に合わなかった。そこでツイ・ハークとレイモンド・ウォン(黄百鳴)の東方電影はこの計画を諦めざるを得なかった。

ちょうど当時グルメをテーマにした《伙頭福星》《飲食男女(恋人たちの食卓)》などが大ヒットしており、ツイ・ハークはここに目をつけ、正月にグルメ映画を撮る事に決めた。そこで88年頃に書いた脚本《満漢全席》を引っ張り出し、手を加えた。

他のグルメ映画、シェフ対決映画との重複を考え、ツイ・ハークはケニー・ビー(鐘鎮涛)、チウ・マンチェク(趙文卓)、熊欣欣の三大シェフ対決の場面を減らした。またレスリーという切り札を手に、レスリーが料理を学ぶ設定、レスリーとアニタ・ユン(袁詠儀)のラブ・ストーリー、アニタ・ユンとロー・ガーィン(羅家英)父娘の物語を加え、他のグルメ映画との違いを出した。映画は完成後、香港では《金玉満堂》と名前を変えたが、台湾と中国ではシナリオ通りの《満漢全席》の名で上映された。

9、《金枝玉葉(君さえいれば)》に続編が出来た理由

94年の《金枝玉葉》は、本来一作で完結する物語だった。大ヒットを収め、興行成績も評価も良かったが、ピーター・チャンは続編を撮るつもりはなかった。しかし彼のある失敗によって、《金枝玉葉》にはなかなか出来の良い続編が出来た。

94年の《金枝玉葉》の完成後、ピーター・チャンは意気高く、3千万ドルの興行収入のおかげでUFO(電影人製作有限公司)でも大きな顔をしていた。周囲も彼を批判する度胸はなかった。そしてチャン監督は得意になり、野心を膨らませて“人生を懸けた”会心の作《麻麻帆帆》を撮影した。ところが映画の作品名とちょうど同じように、(訳注:“麻煩”=悩み、面倒と“麻帆”は発音が似ている。)損失も多大だった。(UFO社長のエリック・ツァン(曾志偉)は何度もこのタイトルは縁起が悪いと言ったのだが)そしてそのためにUFOは苦境に陥り、最終的には財政的な問題からゴールデン・ハーベスト(嘉禾電影有限公司)に吸収合併された。

会社の損失を挽回すべく、ピーター・チャンは会社の意向を受け、元々撮るつもりのなかった《金枝玉葉》の続編の準備にかかった。しかし遅々として進まなかった。チャン監督は他の2つの物語を考えていた。一つは《甜蜜蜜(ラブソング)》もう一つは、浮気の話だった。のちに鐘珍らの意見で、浮気の話を《金枝玉葉2》に取り入れることにし、レスリーと話をして同意を得た。ここに来てやっと続編はスタートを切った。

《金枝玉葉》でのレスリーの役は、非常に人気だ。また続編でも、レスリーは様々な面で手助けしている。アニタ・ムイ(梅艶芳)に出演の交渉をし、助監督まで務めている。あまりにも時間がなかったので三組に分け、チャン監督、レスリー、エリック・ツアンがそれぞれ撮影したのだ。

10、《小親親》では、何故レスリーに謝辞を述べているか?

UFOの作品には、よくレスリーが“顔を出して”いる。《金枝玉葉》の1、2集を撮っただけでなく、《記得…香蕉成熟時2》《アンナ・マデリーナ》にもゲスト出演している。これはレスリーと社長のエリック・ツアンが親友だからだ。またレスリーはこの誠意あり、創意にあふれる映画会社に喜んで協力していた。

UFOの作品にケリー・チャン(陳慧琳)とアーロン・クオック(郭富城)が主演している《小親親》がある。エンディング・ロールでレスリーに謝辞を述べているがこれは何故か?

奚仲文は《チャイニーズ・ゴーストストーリー》《金枝玉葉》等でレスリーの衣装を担当した。彼が監督することになると、レスリーは積極的に何か手伝えることはないかと言った。そして《アンナ・マデリーナ》にゲスト出演し、《小親親》では適当な役がなかったため、ケリー・チャンの演技指導をしたと言う。また作品中のレコードなどの道具はレスリーが提供した物だそうだ。

 
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